最後の恋
「続きまして、新婦エリ様の高校生時代からのご友人である松永莉奈様、田中サキ様、どうぞ前の方へお進み下さい」
緊張しながら立ち上がる。
拍手の中、ドキドキしながら前に出ると、司会者の方がガチガチな私達の緊張をほぐすためなのか少し話をしてくれた。
「実は、お二方は今日、つい先ほどの挙式の後にスピーチを頼まれたようなんです。ご祝辞を考える時間もあまりなかったと思います。いきなりで緊張もされていると思います。でも、新婦エリ様はどうしてもお二人にお願いしたかった、と仰っておりました。時間は大丈夫です。ゆっくりで結構なので、どうか緊張なさらずお話し下さい」
すると、司会者の言葉を聞いたサキが先にスタンドマイクの前へ出て口を開いた。
「エリ、シン君、ご結婚おめでとうございます」
落ち着いたサキの声で始まったスピーチ。
「私はエリとは高校時代に出会って、今年でもう14年になります。気付けばもう、人生の半分近くも友達です。いつも明るくて元気で、優しいエリに出会えて、私は……高校時代からずっと楽しかった。たくさん笑えたのも、青春時代に素敵な思い出ばかりが溢れているのも、エリと出会えたからです。ありがとう」
聞いているだけで、涙がこぼれそうだった。
泣いちゃダメだ。泣いたら…話せなくなる。
ダメ、我慢しなきゃ。
「シン君、エリはいつも元気で明るいけど、本当はすごく寂しがり屋です。気が強いところもあるけど、本当は強がっているだけの時もあります。お願いします、エリのこと、これからもずっと大切にしてあげて下さい。寂しがるようなことは、絶対にしないで下さい。幸せにして下さい。ずっと笑顔でいられるよう、温かい、笑いの絶えない家庭を築いて下さい。
エリ?」
サキがそう言ってエリを見ると、エリはボロボロ涙をこぼしながら泣いていた。
「ケンカした時はグチ聞くから。ラブラブな惚気話もたまには聞いてあげる。だから……幸せになるんだよ」
サキの言葉に、エリは頷きながらハンカチで涙を拭っていた。
「簡単ではありますが、以上で私からのスピーチとさせていただきます」
お辞儀をしたサキに、会場全体から拍手が飛び交う。
そして、滲んだ視界の中、下がってきたサキと入れ替わるように今度は私が一歩前へ出た。