最後の恋
彼といる今のこの瞬間が……
なんだかすごく楽しかった。
バッティングセンターを出てからも、私達のくだらないやり取りは続いて。
タクシーに乗ってる間も、それはずっと続いてて。
『じゃあまた明日ね』
タクシーがマンションに着いて、先に私がそう言っておりても。
『明日になってやっぱ付き合うんヤメるとか言ったら、俺ぜーーったい会社やめますからね!』
『ハイハイ、やめなやめな〜』
『うわっ!ひどっ!ひどいと思いません?運転手さん!!』
最後まで椎名は、バカみたいなノリで。
『アハハハッ、もう分かったから帰りなさい』
私が呆れ顔でそう言ったら。
『ハイハイ!帰ります帰ります!おやすみ!莉奈さん』
椎名はタクシーの窓から顔を出して、満面の笑みを浮かべながら、見えなくなるまでこっちを振り返り手を振り続けていた。