ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
「生意気言ってすいませんでした」
頭を下げたあきら君は、私を残して店に走って戻った。
あきら君は、私と片桐さんをふたりきりにしてくれようとしたんだよね。
でも、何を話せばいいのか・・・・・・
「優海、ごめん。俺・・・・・・」
何、何?
片桐さん、何謝ってんの?
私、今からフラれるの?
告白もしてないのに。
「いくら昔から知っていたとしても、お前も女の子だもんな。抱きしめたり、手を繋いだり・・・・・・お前のこと困らせたな」
違う。
困ってなんかいない。
嬉しかった。
本当に嬉しくて、幸せだったんだよ。
「みゆきのこともお前に相談するのは間違ってた。いろいろ悩ませちゃったな」
それも違う。
私、嬉しかったよ。
誰にも話せない悩みを話してくれて。
内容は切なかったけど、こんな関係になれたことが嬉しかったの。
「今日飲みに誘ったのは、また俺のくだらない話を聞いてもらおうと思っただけだから、やめとくよ」
自分の気持ちがよくわからなかったけど、今とても悲しい気持ちになっているってことは、やっぱり片桐さんと飲みに行きたかったんだ。
私・・・・・・
やっぱり片桐さんと一緒にいられることが幸せなんだ。
話の内容が、みゆきさんのことだったとしても、私は片桐さんと一緒にいたかった。
その時間だけはふたりだけのものだもん。
恋をしている片桐さんを見るのは辛いけど、私にしか話せないと思ってくれることは幸せだもん。