ハニートースト ~カフェで恋したあなた~
「お前の顔見てるとさ、俺の悩みなんてちっぽけだって思えた。だってさ、まだ中学生のお前が母親を亡くしたんだもんな。どれだけ辛いか・・・・・・」
片桐さんは、月を見上げた。
目を細める。
「お前のこと、守りたいって思ったんだ。それは、恋愛感情ではなかった。でも、俺がコイツを守らなきゃって強く思ったんだよ」
そうだったんだ。
全然知らなかったよ。
冗談で言ったわけじゃなかったんだ。
あの日、片桐さんも悲しかったんだね。
片桐さんの大事な人が遠くに行ってしまった日だったんだ。
「もう俺は誰も好きにならないと決めた。バカだろ。失恋くらいで・・・・・・でも、もうみゆき以上に愛せる人はいないって思ってたからさ。だから、優海のこと俺が守っていこうって思った。お前にとってはひどい話だよな。ごめんな」
「ううん。嬉しかったから。冗談だって言い聞かせたけど、すごく嬉しくて・・・・・・その言葉が私を支えてくれたの。ずっとずっと」
今も・・・・・・ずっと支えてくれてるんだよ。
片桐さん。