トリプルトラブル【完】
 「そうか、俺はあの時生かされたのか。俺はさまよっていた。生死の狭間で漂っていた。傍に珠希がいなくて探し回っていた。その時に見た気がする。誰かが珠希の霊に寄り添っていたのを。追いかけたけど見失って目覚めたんだ」


「あっ、もしかしたらその時かも知れない。美紀ちゃん突然意識不明になって倒れていたわ」


「その時に美紀に憑依したのかな?」


「解らないけど、きっとそうね。結城智恵さんが迎えに行ったのよ。二人で見守ろうって……。ほらやっぱりそうでしょう? やっぱり美紀ちゃんの中には、姉と結城智恵さんが居るのよ」

沙耶はそう言いながら、正樹の手を強く握った。


「でも……だからって、俺でいいはずがない」

それでも正樹は決意出来ずにいた。
< 200 / 229 >

この作品をシェア

pagetop