トリプルトラブル【完】
 「俺は考えていた。誰も傷付かない方法を」

正樹の脳裏に大の笑顔が浮かんだ。
正樹は本気で大に美紀を託そうと思っていたのだ。


「でもね、お義兄さん。今の美紀ちゃんにはお義兄さんだけなのよ。お義兄さんしか居ないの。だって、本当にあの子お義兄さんを愛してる。だから……、だから、大事にしてあげて」

正樹を説得しながら、沙耶は不思議に思った。

何故、こんなに一生懸命になっているのだろうと。


「美紀を自由にしてやろうと思ったんだ。ただそれだけだった」

正樹の話を聞きながら、あれこれ思いを巡らす沙耶。


そしてある結論に達する。


(――もし本当に姉が憑依しているとしたら、それは義兄の傍にいたいからだ。大阪に行くためじゃない。大阪に行かせたら駄目だ)

と。



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