紺青のテネレッツァ



「で、君の名前は何や?」


「あ、僕は‥」



僕は‥の続きが出て来ない


「名前言われへん理由でもあるんか?」


「そういう訳じゃなくて、
分からないんです名前が。」



いや、正確には名前だけじゃなく全て

自分に関わる事が一切思い出せない



ただ、年相応の一般教養はあるみたいだけど‥



「記憶喪失なんか‥?」



怪訝そうな顔でこちらを見る紀さん

でもそれはすぐに苦笑いに変わった



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