紺青のテネレッツァ
「あの日、
朔哉(さくや)っていう研究所の者が、君を“道端で拾った”言うて此処に連れてきたんや
何処で倒れとったとか
いつ頃からとか
詳細は儂らはまだ知らん
ただ、君が此処に来たとき
体温は32℃、
体中凍傷で
最悪やったって事だけは分かった
それを儂らが治療したいう訳や」
ほとんど死にかけだった僕を救ってくれたということか‥
「ありがとうございました」
「礼なんかえぇよ、
それよりホンマに何も分からんのか?」
「はい。」
紀さんと合わせていた目を下に下げる
今の僕は記憶も無ければ
身分証もなく知人もいない
お金だって持ってるか分からない