カラス君と黒猫さん




・・・・・どりゃえもん。


俺が知っている“どりゃえもん”は青い体に白い顔。

だけど手渡されたどりゃえもんは何だか形も歪だし、顔の造りが。



「・・・・・・・何か外国人っぽくない?」

「そうだな。日本のに比べると堀が深い。」


鼻、高いし目がやけにきらめいている。



「まぁまぁ、土産だとおもって部屋に飾ってくれよ。」

「・・・・・・うん。ありがたく頂いておく。」



カナダ版“どりゃえもん”を机に置いて、代わりにコーヒーを啜った。





「須王、色っぽくなったな」

「何言い出すの」

「やっぱ恋のおかげだな・・・・。色男が!」


ばし、と背中を叩かれてコーヒーを吹き出しそうになる。

・・・・・危ない。


「何も変わらないよ?そう言う父さんだってエンジョイしてる顔だけど」

「エンジョイしてるぜ?仕事が生き甲斐になってきた」

「働き者だねー・・・・・・」


働き者、で黒猫さんを思い出した。

熱がやっと下がった、と言うくらい病み上がりなのにバイトしてそうだな・・・・・。




自然と口元が緩む。


「何だ何だニヤけだして」

「思い出し笑い」





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