カラス君と黒猫さん




「いやぁ、何より元気そうで良かったよ。お前は母さんに似て病弱だからなぁ。」

「あ、そうだ。墓参りはいつ行く?今日日本に着たばっかりで疲れているだろうし、明日行く?」

「いや。もう直ぐにカナダに戻らないといけないから、今日即興に行くよ」

「いつ戻るの」

「明後日の飛行機に戻ろうかなーと。」



・・・・・・・明後日。
俺だったら仕事が嫌で日本から出ないと思うけどなぁ。



「だったら明日墓参り行けばいいじゃん」

「明日は須王と日本を巡りたい!!」

「・・・・・・・へ、そうなの」

「近場をぶらぶらするのも悪くないだろー?須王の高校も見てみたい」

「高校?普通の学校だよ?」

「いいんだ!!」



コーヒーを啜って、熱く語りだす父さん。
高校、ねぇ。



「須王、飯作って」

「は?」

「お前一人暮らしだろ?だったら飯美味い筈だろ!男料理を見せてみろ!」

「えええ・・・・食べてきてないの・・・」

「お前の手料理が食べたいんだ」



がしり、と手を掴んできて。



(ああ・・・・・最近人に作ってばっかだなぁ・・・)



「・・・うん、分かった。けど普通のご飯だからね。」

「おう!」



重たい腰を上げた。




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