カラス君と黒猫さん
カラオケの店内の窓から見える、黒猫さんのシルエット。
それが、嫌に妖しい足取りで。
ふらふら、が良く似合う。
「っ、」
思わず、俺は咄嗟に店を飛び出ていて。
冷たい秋風が体を襲う。
「黒猫さん!!!」
黒猫さんは、こちらを見る事もせずに、後ろの方へぐらりと傾いた。
それを、腕で受け止めた。
ひやりと温度が伝わる。
「黒猫さん?」
黒い瞳は、今は閉じられたまま。
顔色が酷く悪い。
「・・・・・・・・・・・・・・どうするか・・・、」
黒猫さんを腕で抱えたまま、カラオケの駐車場で一人苦悩する。
(倒れる、ほど何を抱えてたの)
黒猫さんの家を俺は知らない。
じゃあどうするか。