カラス君と黒猫さん
(黒猫さん、怒らないでね)
黒猫さんの冷たい膝下に腕を回して、背中を支えた。本当はおぶる形の方が楽だけど、今の格好じゃ無理だし。
俺は、黒猫さんを抱き抱え、秋の暗空を歩いた。
(俺の家しか無いじゃないか)
その考えが、起きた時の黒猫さんの機嫌に触れなければいいけれど。
黒猫さんなら“道端に置いといてよ”とでも言いそうだし。
濡れた体が俺の腕を湿らせる。
(もう冬になるなあ・・・・・・・・)