問題山積み

ふわっとした服が好きだった。
あんまり身体にぴたっとくっつかない服。
なのに、最近はタイトな服を選んで買い、着ている。














「最近、なんだか雰囲気が変わったね」


有村さんが缶ビール片手に、ぼそっと呟いた。
視線はテレビに向けられたまま。
テレビの中では、今人気のあるアイドルグループがきんきん声で歌って踊っている。


「誰が?」

「亜樹ちゃんが」


アイドルの誰かかと思い込んでいたから、自分の話であったことに驚いた。
有村さんの話は、いつも唐突すぎる。


「そうですか?」


そらとぼけるも、それが意味していることに私は気付いている。
心の中では、「よっしゃあ!」と叫んでいる自分がいた。
やっと有村さんは気付いてくれた。私が痩せたことに。
私の体重の減少はある程度のところで止まり、今はもう殆ど変動しない。
それで私も納得していた。
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