暗がりの夜だから



―…ポッ

ほんの小さな音に誘われ、小瓶のコルクが開く。

漂ってくるのは、あの甘いバニラの香り。

「…よしっ……。」

その香りは、泣かないためのものなんかじゃ、とうになくなっていた。

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