イケメン大奥
化膿した傷がドクドク、とあたしの鼓動と共に痛みを刻む。
このまんまで居たい。
そうだ、
いっそ、上様にならずに、このまま詰所勤めで……となると、
逢えないんだね。こうして逢うことは許されなくなるんだね。
レイ。
「あたし、……上様になって、大奥に居る間に傷を治す方法を見つける」
「では、上様、挨拶の儀式の準備に参りましょう」
「あ、もちっとこのまんま……」
もぞもぞっと毛布の中、レイの腕の中の温もりを楽しんでいたい。
けれどもお仕事モードになってしまうレイ。
「上様になると言いましたね?」
ううう。後悔したところで、言葉は一度出たら戻せない。
「……はい」
渋々、返事をする。
「参りましょうか」
冷酷にも素早くレイの腕は離れていく。