イケメン大奥

見上げると

あたしの目と同じ高さまでしゃがみ込んだレイが居た。

短髪の髪に触れたあたしの指を
レイが
捉える。

冷たい手。

「冷たい」

「外で上様をお待ちしていましたので」

「皆は?」

「心配して上様を待っていますよ」


手首がやはり、痛むのですか?

包帯を解いて、消毒して手当し直しましょう。


レイの喉仏が声と共にゆっくりと上下している。


「ね、レイ。大奥を去ったら、この印も消えちゃうの?」


あたしの首元に付けた、貴方の口づけの印が、

消えてしまう事に、

気付いている?



「それが大奥の定めなのでしょう」

涼やかな顔をして、

そんな冷たい言い方しないでよ。


意地悪で見目麗しく、大奥を取り仕切るあなたにとって、

あたしなんか、去ってしまえば
それで終わり、なんでしょう?

どんな巧い甘い言葉であたしを翻弄しても

それは「上様」に対してなのね。



< 187 / 190 >

この作品をシェア

pagetop