イケメン大奥
見上げると
あたしの目と同じ高さまでしゃがみ込んだレイが居た。
短髪の髪に触れたあたしの指を
レイが
捉える。
冷たい手。
「冷たい」
「外で上様をお待ちしていましたので」
「皆は?」
「心配して上様を待っていますよ」
手首がやはり、痛むのですか?
包帯を解いて、消毒して手当し直しましょう。
レイの喉仏が声と共にゆっくりと上下している。
「ね、レイ。大奥を去ったら、この印も消えちゃうの?」
あたしの首元に付けた、貴方の口づけの印が、
消えてしまう事に、
気付いている?
「それが大奥の定めなのでしょう」
涼やかな顔をして、
そんな冷たい言い方しないでよ。
意地悪で見目麗しく、大奥を取り仕切るあなたにとって、
あたしなんか、去ってしまえば
それで終わり、なんでしょう?
どんな巧い甘い言葉であたしを翻弄しても
それは「上様」に対してなのね。