イケメン大奥

レイの上半身が、あたしの前に屈して、

あたしは、それを望んで言ったはずなのに、
もう、舌の根が乾かないうちに、

『行かないで、置いて行かないで』

叫び出しそう。



レイは跪いて、数分、
あたしの気配を感じているようだった。

グレーの短い髪に天使の輪が浮かんでいて、その髪に

思わず触れてしまう。


「今までお世話になりました」

硬い表情。唇をきつく横に結んだ、その顔さえも

本当は、愛しい。



「下がってもよろしいですか?」


グレイの髪が、あたしの指を離れていく。

レイのにおいも、あたしから去っていく。

離れたくないけれど、



そうしないと、


あたしはもっと、……醜くなる。
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