シンクロニシティー


 シュウが私の右手をそっと拾い上げ、小さくて平べったい金属のような物を握らせた。

 握った拳は大きな両手にすっぽり包まれ、シュウはきゅっと力を込める。


「いつでもいい。
 また昨日みたいに家を飛び出したら、ここにおいで。
 コト、お願いだ、自分を大切にしてあげて」

 言ってシュウの手はふわっと離れた。



『自分を大切に』


 援助交際なんかするなって、きっと遠回しに言っているんだ。
 さほど遠回しでもないか……


 手を開けばそこに、この部屋のものだと思われる鍵。


 合鍵……?


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