シンクロニシティー


「これ、私に?」

「うん。もしも留守だったら、勝手に入ってて」


 わからない、どうして私なんかにそこまで……?

 わかんないよ。



 いつの間にか嗚咽も止み、気持ちも随分落ち着いた。


 けれど、シュウの過剰なほどの優しさは、不自然過ぎてすんなり受け入れることができない。
 頭の中は『どうして?』と、理由を求める気持ちで一杯になった。



 貰った鍵をどうすることもできず、手の平の上にのせたままポケッとシュウを眺めていた。


「僕にとっても、コトがすごく大切だから」

 言ってシュウはふわっと優しく微笑んで見せる。



 シュウがくれた答えは、『すごく大切だから』。


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