色をなくした世界
全部話を聞き終えた青山の額はヒクヒクしている。


「ほう・・・。雪乃ちゃんが熱を出したのは本当におまえのせいだったんだな・・・・」


話した後・・・青山がどれだけ雪乃を溺愛していたかを思い出す辺り・・・・自分も結構参っていたのだろう。



「何を言われても・・・返す言葉もありません・・・・ただ・・・・」



もう側にいる事はできない。



「離れる為に仕事に逃げているのかもしれません・・・・でも・・・・」


雄大は限界だった。いつまでも友達でいるには・・・和哉がいない。


かと言って恋人になるには・・・・和哉がいる。


いつだって自分たちの関係は和哉を通してできていたものだった。



それをジッと見ていた青山が雄大の頭をげんこつで殴る、


「逃げているのかもじゃない。逃げているだろう。お前は雪乃ちゃんからも、自分からも・・・雪乃ちゃんの死んだ旦那からも」



雄大は青山の言葉に擦っていた頭から手をおろし、顔をあげる。



「そうだろ?お前は辛いからこの場所から逃げる。雪乃ちゃんを見るのが辛い。雪乃ちゃんの後ろにいる死んだ旦那を見るのが辛い。醜くなっていく自分を見るのが辛い・・・」
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