色をなくした世界
青山は更に言葉を続ける。




「けどな・・・・逃げた先に何もないぞ。大事なものを置いて行って・・・戻った時にはないこともあるんだぞ?生きていればまた会える。あんなものは嘘だ。生きていても会えない時はある。会いたい時に会いたい人に会える保証は・・・・どこにもない」



死んでいなくても、生涯会う事はないなんてことざらにあるのだ。



雄大よりも長い時間を生きてきた。その分辛い別れや悲しい別れは・・・雄大よりも多い。




「後悔するぞ」



後悔するなよではなく・・・後悔するぞ。



その言葉は雄大の胸に深く刺さった。



「けれど・・・・どうすれば良いのかもう分からないんです。友達として側にいる事はもうできない・・・」



あんな事をしてしまった自分を、雪乃が友人として受け入れるとも思えなかった。



「俺・・・ずっと好きだったんです。雪ちゃんの事が・・・・でも・・・」


和哉の事も大事だから・・・



「本当に分からないんです。雪ちゃんの事が好きなのに・・・雪ちゃんが和哉以外を好きになるのが許せない自分もいる・・・・」


青山に言っているのか、自分に話しているのか・・・・雄大は分からなくなっていく。

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