色をなくした世界
雄大は驚いたように雪乃を見たが・・・雪乃は分かっていた。



「どれだけ一緒にいたと思ってるの?雄大君は告白してくれるだけなら・・・」



わざわざ熱の自分の所になど来ない・・・・。



お見舞いには来たかもしれないが・・・告白はしにこない。



「だから・・・熱の私の所にわざわざ来て・・・伝えなきゃいけない事があるんでしょ・・・?」



それも恐らく・・・・悪い事。



「雄大君が私を見ていたように・・・・私も雄大君を見ていたよ?雄大君と同じ好きではなかったけど・・・・私は雄大君が好きだったから。雄大君の変化に気付くくらいには・・・側にいたよ・・・?」



いつだって隣には和哉がいたけど、それでも長い時間を一緒に過ごした。



だから雄大の変化なら気付く。



(気持ちには気付いてあげられなかったけど・・・ね)




自嘲気味に笑いが漏れてしまうが雄大は気付いていなかった。




雪乃に言われた事に驚き、動きを止めている。



次に雄大が口を開いた時・・・自分たちの緩い関係は終わる。


そう確信していた。
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