色をなくした世界
和也が帰ると、雪乃の父が雄大に向き直った。


「君は・・・」


雪乃の父も雄大の顔には覚えがある。



雪乃が和哉と撮った写真の中に、この青年もよく映っていたからだ・・・。



「和哉君の友人だったよね・・・?」



雪乃の父に覚えてもらっていた事に驚いた雄大が小さな声で「はい」と告げれば、雪乃の父の目にも涙が浮かぶ。



「あの子は・・・また・・・人を愛したのか・・・・」



もう二度と無理だと思っていたのに・・・後を追っても仕方がないと・・・覚悟していたのに・・・。



「君のおかげか・・・」



あの子が生きてこれたのは・・・。



雪乃の父の言葉に雄大の目から涙が落ちる。



「俺は何もしてません・・・雪ちゃんはたくさんの人に愛されてここまできたんです・・・俺は何もできませんでした」



こうしている今も雪乃はいなくなってしまうかもしれないのに・・・・自分は何もできない。



雄大は無力だった・・・。



(和哉・・・・雪ちゃんを連れて行かないでくれ・・・帰してくれよ・・・)
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