色をなくした世界
雄大の声が遠くから聞こえているような気がしていた。


雄大に肩を揺すられ、雪乃はやっと一馬から目を離すことができた。


「ごめん・・・・聞いてたのに・・・本当に似ていてびっくりしたから・・・・」


チラチラと一馬を見ながら雪乃は雄大に謝る。心ここにあらずといった感じだ。


その時・・・・一馬が席を立ち、こちらに来るのが見えた。


「雄大久しぶり」


久しぶりと言いながらも、雄大には興味がないように一馬は話す。


「おう!無事帰って来たんだな」


当たり障りのない返事しかでてこなかった。


「何とかな・・・・でっ。こっちの人は誰?」


一馬と雪乃は会ったことがない。その為雪乃を知らない事は当たり前なのだが・・・雄大の直観が二人を近づけてはいけないと言っている。


雄大が何も言わずにいると、一馬は雪乃に話しかけた。


「あんた・・・・誰?」


誰に対しても冷たい話し方しかしない一馬は雪乃に対しても同じだった。


(あんた・・・って初対面の人に対してそんな事言う?)


和哉に似ているのは顔だけだと・・・雪乃はこの時悟った。


これは和哉ではない・・・和哉は死んだ。
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