色をなくした世界
「急に訪ねてごめんね。でもどうしても話しておきたい事があったんだ」


雪乃の目を穏やかに見ながら、青山は「春日谷の事なんだけど」と告げた。


春日谷の名に雪乃の顔は曇る。


(結局あれから一度も会ってないな・・・・助けてもらったお礼も、貸してもらった上着もそのまま・・・)


会社の人たちが代わる代わるお見舞いに来てくれた中・・・一馬は一度も来なかった。


(当たり前か・・・私嫌われちゃっただろうし・・・・)


心の中で自嘲すれば・・・青山が続きを話し出す。


「忘年会の時春日谷が言った事。あの時俺は止めなかった」


周りが止めに入ろうとするのを、青山と社長がずっと止めていた。


雪乃は雄大から聞いていた為、青山の目を見て頷く。


「止めていた理由はね。あいつも大事な人を亡くしているから・・・・雪乃ちゃんの気持ちを一番理解できると思ったからなんだ・・・」


青山の声が少しだけ震え、瞳は悲しい色をしていた。


(・・・春日谷さんも・・・?)


雪乃の顔も泣きそうな顔へと変わる。しかし涙は見せずに、青山の続きを待った。
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