色をなくした世界
何を言っても無駄だと判断した雪乃は素直に従うことにした。


「了解。じゃぁ私の事も雪で良いよ。仲の良い子はみんなそう呼ぶから」


一馬と同じ・・・雪乃もまた名前は特別だった。


「雪ね・・・了解。でっ・・・雪はここで何してたの?」


時計を見ればもう20時。女の子が一人外にいるにはなかなか危険な時間である。


「雄大君待ってるの!過保護なお兄ちゃんは、送り迎えをしてくれるって言うから」


おどけて言えば、一馬の顔に雄大への同情が浮かぶ。


(アイツ・・・・全然眼中に入れられてないじゃん・・・)


「過保護って・・雪は雄大に何も思わないの?」


援護って言うガラではないが・・・あまりに雄大が不憫になり一馬は雪乃に聞いた。


言われた意味が分からない雪乃は一馬を真剣に見返すだけだ。


「・・・何もって・・・何かあるの?」



雪乃の鈍感ぶりに一馬は溜息がでる。そこに雄大が歩いてくるのが見えたが・・・一馬は気にせず続ける。



「雄大が雪を好きとかはないの?」


直球で聞けば、雪乃は一馬を何バカなこと言ってるの?と言いながら笑い飛ばす。


「雄大君が私を好きとか絶対ないよ」


そう雪乃が言い切った時、雪乃の後ろを見ながら一馬は声をかける。

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