色をなくした世界
「だってよ。雄大」


雪乃が驚き後ろを振り返れば、苦虫を噛み潰したような顔の雄大がそこにはいた。


「じゃぁ俺会社戻るわ!また明日」


爆弾だけ落とし、一馬はさっさと会社に戻って行った。


残された二人は気まずそうにお互いを見る。


先に口を開いたのは雄大。


「何か・・・タイミング悪い時に来てごめん」


「ううん。一馬の悪ふざけだよ」


雪乃が一馬と呼んだ事に胸が痛む。


「ねぇ雪ちゃん・・・・」


雄大は思いを止められなかった・・・。


「一馬を好きになるなよ?」


彼氏でもないのに、独占欲が出てきてしまう自分に嫌気がさす。


「アイツは和哉じゃない。顔が似ていても違うんだ」


雪乃の顔が曇っていくのが分かるのに・・・止められない。


「だから・・・絶対好きになるなよ」


告白もできないのに・・・。


醜い自分が大嫌いだ。


雄大はそれだけ言うと車取りに行くから、待っててと雪乃に告げその場を去った。


雪乃は雄大の言葉に何も言えず、下を向くだけだった。
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