色をなくした世界
「だから俺が何かしたのかなって・・・思ってたけど」


自分に和哉の面影を探していた・・・。そういう事だ。


「ごめんね・・・気付かなかった。気分悪い思いさせてたなら・・・本当にごめん」


話すようになって気付いた。雪乃は素直に気持ちを口に出す。


「ありがとう」「ごめんなさい」


それを大人になれば素直に言えなくなる人が多い中・・・・雪乃にはそれがなかった。


「嫌別に・・・理由が分かったし良かった」


ポツリと言うと黙って和哉の遺影を見だす一馬に、雪乃も話しかけずに和哉の遺影を見る。


「俺も昔大切な人を亡くしたんだ・・・」


何故雪乃にこんな事を話すのか分からなかったが・・・止まらない。


「結婚するつもりだった・・・だけどある日いきなりいなくなった」


当たり間に続くと思っていた毎日から・・・。その気持ちが痛い程分かる。


「あの日・・・莉子は俺と約束していなければ・・・あの場所にいなかった」


何の事か分からなかったが、雪乃はコーヒーを置くと一馬の手を握った。


人の温もりは生きている事を実感できる・・・雪乃が一馬のおかげで気付けたこと。


一馬はビクッとしたものの、手を払いのけはしなかった。


「そして・・・子供を庇い死んだ」


まるで物語の終わりの様に一馬はそれだけを呟き黙った。
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