彼は、理想の tall man~first season~

「でも、美紗に好きな男か――うまくいくといいね」

「え――うん」


いきなり何を言い出すかと思えば的な発言をした智子。

だけど、私の恋に対する前向きな気持ちの変化には、終始喜んでくれていて。

飲み屋を出てから駅まで向かう道で、何度も何度も、絶対にゲットだからねって。

なにかあればいつでも相談乗るからねって。

背中を押してもらった。


約4年半振りの恋――になりそうな予感的状況に、智子という存在はとても心強い。

こんな風な気持ちになっているのは、もしかしたら初恋の時以来かも知れない。


――中学の時の初恋。

あの頃より、いくらか大人にはなっている。

でも、あの頃よりもどこか違った意味で余裕がなく感じる。

1人でいるとソワソワして、その妙な感じに耐えられない。

誰かと話すだけで気が紛れて、落ち着くけど――。


中條氏に、会いたいとは思うけど、そういうことを言える勇気はなくて。

やっぱりそういう自分にぶち会うのは相当久し振りのことで。

気持ちをうまくコントロール出来ないでいた。


「美紗、本当になんでもいいから、何かあったら直ぐに言ってよ?」

「うん、ありがと」
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