彼は、理想の tall man~first season~
勝手だって解ってはいるけれど、晃との過去は過去として。
晃にも、その過去はそのまま胸にしまって欲しい。
願わくば――と、思ってしまった。
「ねえ、芋とかは飲む?」
「芋って、芋焼酎ですか?」
「うん」
「あんまり飲んだことないんで、飲んでみたいです」
焼酎をたまにしか飲まない私には、意外だった酒種だ。
「妹にさ、この間久々に電話してみたんだ。それで、引っ越し先教えたら、地酒を送ってくれて」
「妹さんて、九州に住んでる妹さんですか?」
「そう、今は鹿児島の住人」
「鹿児島だったんですか」
「相手が長男で、そのお義父さんが亡くなって――お義母さんひとりじゃって思って、同居してるみたい」
「同居、ですか?」
「うん――嫁姑ってなんかありそうで、大丈夫かって聞いてみたんだけど、地方に来てくれる子は貴重だって、すんごい好くしてくれるって言ってた」
良かったですね――なんてポソッと呟いた私に、中條氏は頷き。
俺もそれ聞けて、なんかホッとした――と、そう言った中條氏はとても優しい顔をしていた。
この間、なんだかんだ言ってはいたけれど、やっぱりお兄ちゃんだ。