彼は、理想の tall man~first season~
「後半、点が入ってるといいですね」
「――そうですねぇ」
車のハンドルを握っているのは敦君。
彼は私の発言に対して、そんな返しで、よそよそしい雰囲気を指摘してきた。
敬語は抜けたり抜けなかったりだった。
けど、それはそれで、付き合い始めっぽくて、私にはこそばゆく。
敦君も、指摘しながら楽しんでいる雰囲気だった。
「焼酎とウィスキーだったら、どっちがいいですかね?」
「減点1だな」
「え? 減点?」
「ペナルティ制導入したから」
そして、遂に敦君は、余所余所しい話し方に、意味不明なルールを持ち出して来た。
減点10になったら何か罰ゲームをして貰おうかなと言って、笑う敦君は本当に楽しそうで。
「罰ゲームって、なんで――なに?」
「ん? どうしようか。罰ゲームだから、」
「気を付けるから変な罰ゲームは考えないで、ね」
「ジャッジ厳しいから、頑張って」
「・・・・・・うん」
これは、もっと仲良くなる為の試練というか、なんというか。
でも、やっぱりそういうのも楽しくて、新鮮で。
買い出しは楽しい時間だった。