彼は、理想の tall man~first season~

尚輝がそういう風な態度を取った理由は、集中して仕事をしていたからなのか――。

でも、単にそれだけって気がしなくて、私は変な違和感を感じていた。

だからといって、今それを深くは考えはしなかった――というより、微かに聴こえている雷の音に耐えなければならずで、考える余裕なんてなかったという方が正解なんだけど。


「尚輝も真面目な所があるんだな」

「――え?」

「月曜、朝から営業会議があるから」


明日の会議と今日の自宅仕事。

敦君なら、その関係性が解るのか――感心したように言っていたから、それは大事な会議なのかな。

そういう会議とは無縁な私は、頷くにとどまったけれど。

営業戦略が会社の行く末を左右するといっても過言ではない。

やっぱり営業マンて、誰彼出来る仕事ではないよね。


「明日は、急遽社長も出席することになった会議だから、突っ込まれても即答出来るように、万全な体制で挑まないとなんだよね」

「・・・・・・え?」


尚輝の会社の社長が出席される会議?

一端の企業の社長が営業部の会議に出席なんて――私の想像を遥かに超えて、大変なことだよね。

尚輝ってば、大丈夫なのかな?
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