１年Ｄ組説明書

「は……は……はぁ……。」


「…………」


「は…………ははっ…………ぶぇっくしゅん！」


「今かい！」


優柔不断なくしゃみをする少年に、もう一人の少年が関西弁でツッコむ。


「すまん……鼻がくしゃみをなかなか許してくれなくてさ……」


この少年の名前は矢嶋　大知。


普通の家庭に産まれた大知は、誰よりも早く大人になりたいと思い、見た目から頭脳まで全部大人ぶっている。


そのせいで、制服に銀のチェーンを付けたり、前髪に三本だけ金のメッシュをしてたり、何となく見た目は真面目な大人からずれてチャラい大人になっている。


「ほんま優柔不断やわ……シャキッとしいや！」


この少年の名前は篠霧　椋介。


篠霧財閥の社長の息子にして次期社長候補の椋介は、何不自由なく生きてきた。


一つ、親の愛を覗けば。


容姿は黒縁メガネにショート。いかにも普通であり地味である。


そんな２人が何故出逢ったかは追々話すとしよう。


２人は双谷上級学校の生徒。


そして、３年Ｄ組の出席番号１１番と３２番である。