キ ミ ガ タ リ ナ イ
「…アンタに関係ないでしょ」
固く締めていた唇をほどき、
冷静に、かつ冷ややかな口調で、キツく睨みながら言った。
そんな強さとは裏腹に、
哀しみに暮れているようにも見える。
「まあ、そうだな」
「…なら、離して」
「どうせ、ひとりなんだろ?」
目元が青く光って見えるのは、アイシャドウだろうか。
瞳の奥に隠した、一瞬の寂しさを俺が見逃すわけもなく。
「……抱いてやるよ、お前のこと」
後にも先にも、自分から"抱かせて"なんて言ったのはこれが初めて。
愛したいとか、愛されたいとか、
そんな面倒なモノなんかじゃなくて。
彼女の中に潜む深いカナシミを見てみたいっていう…
こどものような遊び心。