キ ミ ガ タ リ ナ イ
-ハル-
ベッドの中は温もりであふれているというのに、
なぜか心は凍ったように冷たい。
身体中に赤い痕を残していった彼は、いない。
私は床に散らばった服をゆっくりと着る。
…別に、自分の身体を穢れてるなんて思わない。
私が望んでいることだもの。
「………よし」
一通り準備が済むと、
慎と昨夜を過ごしたホテルを後にする。
慎からメールが来ないことに胸を撫で下ろし、大都会の人の波に身を任せた。
もう、どうでもいい。