キ ミ ガ タ リ ナ イ
と、水木さんの視線がぶつかった。
どうしてか、曇りないブラウンの瞳が強く胸が痛くさせる。
「ハルちゃんの髪、素敵だね」
「えっ…」
「黒髪でロングって、似合う人見たことないけど」
水木さんの指先が、自分の髪に触れた。
…慎みたいに強引じゃなくて。
ただただ、慎重に。 割れ物を扱うかの如く。
「よく似合ってるね」
…初めて、人にほめられた感覚は
どうも落ち着かない。
自分の髪なんて、全く気にしたことなんかなかった。
だから…、何て言うんだろう。
この気持ちの正体なんて知らない。
「ありがとう」
「んふふ」
夜の公園で、月明かりに照らされて見えた水木さんは。
澄んだ瞳で、遠くの星を見つめる姿も、柔らかく思えた。
