償いノ真夏─Lost Child─
それは真郷にとって最大の威嚇だった。
しかし、なおも男は感情の消え失せた瞳で真郷を見ていた。
『出てけって言ってんだろ』
痺れを切らした真郷が、そう言いかけた時だった。
視界に、青い龍が映り、消えていく。
頬に鈍い熱を感じ、身体が宙に浮いた。
「真郷っ!」
母の悲鳴が聞こえてから、じわ、と痛みが襲ってくる。
あぁ、俺はアイツに殴られたのか。
真郷は床に打ち付けられる寸前、やけに冷静な頭でそう思った。