償いノ真夏─Lost Child─


それはまるで、白昼夢のような。

肌にまとわりつく汗は、暑さによるものではない。

ひんやりと顎を伝い落ちるのは、これは。

「ホントに……何なんだよ」

酷く、恐ろしくなった。

あれは本当に母か?

真郷の冷たい態度に怯みもしないあの声の主は、本当に母だったのか?


真郷は残りの食事を詰め込むと、食器を持って母屋へ向かった。

行けば、母がいるはずだ。

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