償いノ真夏─Lost Child─





家に着いて、出迎えた祖母に離れへ通され、真郷は荷物を自室の床に置いた。

畳に埃が積もっている。おそらく、掃除の手が回らないのだろう。


「──狭いよりは良いのかな」


はぁ、と溜め息が漏れる。同時に何となく力が抜けて、ずるずると崩れ落ちた。

扉ごしに、外の様子が聞き取れる。やけに響くのは、母の泣き声だった。


「じゃから反対したのだろうが。勝手に家を出ていきよったくせに離婚なんて、恥ずかしい」

「……仕方ないでしょう。愛してたんですもの」

「世間知らずの生娘だったから漬け込まれたんだ。都会の男なんて、ろくなもんじゃないと言ったろう」

祖母の言葉に、真郷は眉を寄せた。

厳格な祖母が昔から父を良く思っていないのは知っていたが、誤解があるように思う。


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