償いノ真夏─Lost Child─

名残惜しそうに、小夜子は消えゆく明かりを見つめていた。

「いいじゃん、また来ればさ」

「もう。ナツってば、お祭りはまた五年後なんだよ?」

ムッと頬を膨らませる小夜子を、真郷は微笑ましく思った。

「──来よう?何年後だって、また三人でさ」

「良いこと言うじゃん、真郷」

「俺だってまた来たいし。一人じゃ寂しいから旅は道連れってやつね」

「なんか嫌な言い方だな、ソレ」

夏哉は声を上げて笑った。それにつられるように、小夜子と真郷も笑い合う。

「うん、必ず、来よう」


誰からでもなくそう約束する。


< 93 / 298 >

この作品をシェア

pagetop