償いノ真夏─Lost Child─

校門の前までやって来たときは、忠犬だなんだと校内で騒がれたほどだ。

その過程を知っているから、小夜子は真郷に早く帰るよう促したのだった。

「夜鍵掛けずに寝るような村だよ?それに今は暗くならないし、心配しなくても大丈夫だから」

小夜子はそう言うと、小さく手を振った。

振り向けば、教室の入口に夏哉が立っていた。


「こっちに用があったからついでに寄ったんだけど」

「ああ、今行くよ」

「姉さんは?」

「委員会だってさ」

「ふーん」

真郷の準備が整ったのを確認し、夏哉は歩き出した。

思えば、この二年で一番変わったのは彼かもしれない。

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