ワケがありまして、幕末にございます。
声がした方向を見ると眼鏡を掛けた優しげな人が立っていた。
「よぅ山南さん」
「…2人共凄い濡れているね。
寒くないのかい?」
「それが聞いて下さいよ!」
「愁が…
「左之、新八、何か言った?」
どす黒いオーラを背中に背負って笑顔で聞く。
「イエ、何もないデス…」
「そう?(笑)」
「おやおや、仲が良いね。
さて、こうやって話すのは初めてだね、愁君」
「はい。
もうお加減は大丈夫なんですか?」
「あぁ心配かけたね、もう大丈夫だ」
山南さんは今まで体調不良で部屋にいることが多かった。
アタシも軽く紹介して終わったから、ちゃんと話すのはこれが初めてとなる。
「俺も心配したッスよ」
「はは、ありがとう平助くん」
平助は山南さんと同じ北辰一刀流。
きっと尊敬してやまない人なんだろうな…。