ワケがありまして、幕末にございます。
「源さんのお茶、いつ飲んでも美味しいですよね」
「そうかい?
私は愁が煎れたのが好きだけどねぇ」
そう言いながらも嬉しそうに頬をあげ、笑っている。
源さんは茶飲み仲間だ。
忙しいにも関わらず、のぼーっとゆっくりとした時間を一緒に過ごす。
因みに2回に1回は斎藤さんも一緒。
前も言ったがゆったりとした雰囲気、時間は嫌いじゃない。
人間息抜きが必要だし。
2人庭を見つめながら湯呑みを持つ。
「…源さん」
「何だい?」
「俺、最近痛いんです」
「おや怪我でもしたのかい」
「そうじゃなくて。
皆傷負いながら必死にやってんのに、俺は守られるように此処にいていいのか、って。
俺も刀貰いました。
人並みには戦えます。
なのに…皆の傷を見て、ごく簡単な手当てしか出来てない」
それが、痛いんです。
源さんは喉を鳴らして茶をグイ、飲み干した。
そして大福を摘まんで、一口。
「前、近藤さんに用があって部屋に行った時に、土方さんと話してたのを聞いてしまったんだがね」