ワケがありまして、幕末にございます。




「―…と、ゆー訳で、まだ刀は握ります」




話し終わった後、近藤さんは何も言わずにただ抱き締めてくれた。


斎藤さんはやっぱり一番最初から分かっていたうえに、さっきのアタシと土方の話を聞いていたと言う。



…どっから聞かれたんだろう。


つーかマジ、本当に影薄いな、斎藤さんよ。




「隠されるのは辛い事なんだよ愁君。
…話してくれてありがとうな」


「稽古、とか…何かあったら言え…」




隠されるのは辛い…。

だから丞はどこか悲しい声色をしていたのか。



それから少しの間これからどうするかを話し、帰り際に2人して頭をポンポンして彼等は帰っ…




「あ、トシ」
「副長」




…また覚えのあるシチュエーションが…


丞といい近藤さんといい、新撰組の人は所々似ている。性格的に。




「      」


「っ、てめぇ等早く出てけ!」




…?

何も聞こえなかった。

恐らく口パクだったのだろう。


こういう時不便だな、うん。




「チッ、おい市村茶ぁ…ってあーやっぱ何もねぇ、ちょっと待ってろ」




足音が、遠ざかる。



…あ、アタシ小姓じゃん。

お茶、出来るようにしなきゃ。













誰も居ない空間は寂しくて



もう火の花が咲く音は聞こえない



だから更に暗闇を感じる



あぁ、何だか…






孤独だ。





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