ワケがありまして、幕末にございます。
「そんなほっせぇ腕のどこにあんな力があるんだ?」
「まだ若いのにたいしたもんだ!」
「まだおめぇも若ぇ方だよ!」
「そーいやそうだ!」
……なにこの騒がしさ。
酒が入ってるワケでもあるまいし。
「はぁ…」
思わずため息をつくと
「…こっち来い」
隣から声が聞こえた。
一瞬他の人に言っているのかと思ったけど、周りはまだ騒いでいるからアタシに言ったんだと分かった。
そしてもう歩き始めている黒い着物を追った。