ワケがありまして、幕末にございます。





「見えんくなっても、お前は此処で…鬼になるんやな」


「もちろん」


「俺が戻ってくるまで、頼んだで。
…新撰組と沖田さん」


「…うん、」




…って言ったわ良いけど戻ってきたらアタシは用無しか?

それになんだ、丞は沖田さんが好きか、好きなのか。



…ふっ。




「(なんやめっちゃ黒い笑顔や)」




良いでしょう 任せて下さい 沖田さん



あ、一句作れた。

これは土方に報告だな。




「ほなな、ちゃんと寝とき」




ポンポン、と頭に軽い衝撃と優しい声色を残して丞はこの部屋を出た。



風邪ひいてるときのこういうのってかなりクるよね、なんか寂しくなるよね。


…あぁ、人肌恋しいのかな、寒い。




「しゅーうーくん」




布団の中、腕をさすっていたらそんな声が聞こえた。


チラッと襖を見れば顔だけちょこんと出している沖田さん。

え、なにあれ可愛い。




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