『王恋』☆ハロウィンは恋ざかり☆
舞踏会室に戻ると、そこは楽しそうな笑い声と熱気に包まれていた。


「プリンセス、ダンスのお相手をお願い出来ますか?」


芝居がかった仕草でアルは腰を低くし、リンに手を差し出す。


その手をリンが触れると、アルはダンスフロアーにエスコートした。


皆に注目されないで踊るのはなんて解放感があるのだろうと、リンは踊りながら思った。


王室の一員と言う立場では、否が応でもパーティーが終わるまで注目されてしまう。


しかし、誰もが見惚れるほどエレガントに踊るアルに、軽やかに舞うリンが注目を浴びるのはすぐだった。


周りでダンスをしていた貴婦人や貴公子は足を止めて端へと寄り見物し始める。


アルが滑らかなリードでターンをするたびに、シャーベットオレンジ色の花が咲く。


気が付くと、フロアーで踊っているのは自分たちだけ。


「アル……」


不安そうな瞳を向けるリンにアルは優しく微笑む。
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