わたしとあなたのありのまま ‥2‥


 けれどもすぐ、あの時の恐怖が鮮明に蘇った。

 キュッと下唇を噛み締め、冬以の視線から逃げるように俯くと、足早に擦れ違おうとガクガク震える両足を必死に動かした。


「ちょっと待って」

 何故だか背後から掛けられた声はとても柔らかくて。
 余計に気味が悪い。

 冬以は得体が知れない。
 何をするかわからない。
 何を考えているかも。


 無視して歩き続けた。
 けれども、後を追ってきている気配を感じる。
 視線も背中に突き刺さっているようで。

 怖い。
 余りの恐怖に頭の血の気が引いていく。

 視界もみるみる色を失っていく。



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