わたしとあなたのありのまま ‥2‥


「名前で呼ばないで」

 冷ややかに言い放った。

「ごめん。
 苗字……何だっけ?」

 すぐに謝り、困ったような苦笑を浮かべて冬以が問う。

「言いたくない」

「じゃあ、何て呼べばい?」

 冬以は怒ることも、気分を害することもなく、ただ、どうすれば良いかわからなくて戸惑っているようだった。
 苦笑を浮かべたまま、穏やかな声で聞く。

 答えたくなくて、冬以の視線から逃げるように俯いて、足元を見詰めたまま黙っていると、

「ほのか」

 と、また冬以が性懲りもなく私の名を口にする。
 思わず、チッと舌を鳴らして顔を上げ、思い切り冬以を睨みつけた。

「舌打ちとか……」

 冬以は可笑しそうに笑っている。

 何が可笑しいのだろう。

 どうして冬以は、
 私が何を言っても、何をしても、
 怒らないのだろう。


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