わたしとあなたのありのまま ‥2‥


「あれ? ほのかちゃん、何か言いたげだね」

 などと言いながらも、何の憂いもない朗らかな笑顔を見せる綾子に、ほんの少しイラッとした。


「田所と会うの気まずいんだよ。
 本当に」

「気まずいと思うから、気まずいんだって」

「何それ?」

 不服を100%込めた言葉を返す。


 小学生の時。
 学芸会の直前に、膝をガクガク有り得ないほど震わせて、顔面の血の気も引いて蒼ざめていたらしい私に向かって、担任の先生は優しく微笑んで言った。

『お客さんを人だと思うから緊張するのよ。
 あれはみ~んなジャガイモだから。
 大丈夫よ、秋山さん』

 確か……
 その一言のお蔭で、私の緊張は随分とほぐれて、何とか無事に演じ切ることができたんだっけ。

 と言っても、
 私なんか『木』の役で、セリフなんか『サワサワ、サワサワ』だけだったのだけど。


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